簡易日記(2006年1月〜3月)

一覧に戻る





3月31日

今日でチューターも終わることになったんですが,
一向に質問に答える能力の向上することこれなく,最後の生徒にも
これといった助言もできず時間切れとなる始末.
いうまでもないことですが

質問者がじっとしていられる時間 <<<<< 自分が思考に耐え得る時間

なので,基本的に出された数学の問題をあまり考えずに解くつもりでないと
時間をかけすぎたことになる訳ですね.うわぁ.思いっきり自分に不向きな気がしてきた.

よくあるタイプの問題(もちろんこちらの質問の方が多数)なら
あまり本気で思考することなく答えが出てしまうので良しとして,
自分が「いま考え始めたばかり」と思っているとき,相手の生徒は
「早く答えやがれコノウスノロメガ!!」とか言いたくてたまらない顔をしている訳です.
多少頭が悪くてもそれをカバーする機転があるといいんですが私にそんなものは存在しません.

結局,最後の生徒はめちゃくちゃ不満そうに出て行った訳です.
家に帰ってから,さすがに遣り切れなくなり
さっきの問題の答えを,大学のレポートよろしく後日生徒に渡すつもりで書きました.


3月30日

昨日知った余りの計算.
問. 2100 を 1001 で割った余りを求めなさい.

1001=7・11・13. 2100≡2 mod 7, 2100≡1 mod 11,2100≡3 mod 13.
2100=7・11・13q+7・11r+7s+t,0≦r<13,0≦s<11,0≦t<7 とかける.
7 で割った余りより,t=2 を得て,2100-2=7・11・13q+7・11r+7s.
11 で割った余りより,-1≡7s mod 11,よって s=3 を得て,2100-2-21=7・11・13q+7・11r.
13 で割った余りより,-20≡-r mod 13,よって r=7 を得る.
余りは,7・11r+7s+t=7・11・7+7・3+2=562.

激しく既知かもしれませんが僕には新鮮でした.
最初の一行から,「孫子の定理」より余りは定まる,ということは知っていてもどう求めてよいか
分からなかったので.


3月29日

チューターにハーツホーン(和訳)を読んでいる人がいます.

今日は,僕と同学年のチューターMさんの追い出し飲み会があって,
僕もついでに追い出されることになって,おこぼれに預かってしまいました.
どうもありがとうございました.

TeX の話になって,秀丸+祝鳥を導入してみようかという気になる.


3月28日

確率論の専門家の横で確率論の本を読むのは結構苦しい.


3月27日

しんご飲み.池上くんの活躍っぷりを知る.
生簀が故障って残念ですな….でも店は全体に広々してて,個人的には気に入りましたよ.


3月26日

チューター.はぁ…初等幾何できません.


3月25日

チェコ語の ř はドボルザークの「ルザ」.外国人には発音困難だが,
発音できなくても通じるとのこと.


3月24日

スギ花粉の抗体値が上がってるってことなんですけど,それって注射が効いてないってことじゃ….


3月23日

修了式.こんなに朝早く起きることができたのにまずびっくり.
数理の学位記(修士)を代表して受け取ったのはあべのりだった.
確かに二度渡されてます.

もう眠いし.とか言って家に帰ったのだが,電車の中で寝て多少復活したので,
家で着替えてから飲み会に行ってきました.


3月22日

久しぶりにチューター勤務,質問者ゼロ.


3月21日

ていうか花粉症ひどい.大量の花粉を吸引すると,
その5〜6時間後くらいからひどい症状が現れ,
花粉のない環境に移っても一日は持続します.

これは鼻粘膜が膨張して,いくら鼻かんでも鼻づまり,という奴ですね.
あー,こんどは鼻水がぽたぽた落ちてくる.これだけはやめてくれ.
軽症の風邪みたいな微熱まで出るから勉強する気にもなれん.困ったものじゃ.


3月20日

お彼岸なのでお墓参りに行った.なんまんだぶ.
祖母と伯母さんと百貨店の名産展で和菓子を買って,蕎麦を食べて,
高速バスで福岡空港に直行.しかしこのバスには落とし穴があった.
このとき閉まっていたと思っていたバスの窓は実は一センチほど開いていた.
そのような状態で,マスクもせずに一時間も寝ていたものだから,
これは相当量の花粉を吸い込んだに違いない.そのことは翌日痛いほど実感するのである.

飛行機はとくに何事もなく羽田に着いた.


3月19日

最終日.H 先生は,僕にとってお祖父さんくらいの年齢にあたる.
K 先生ですら,かなり年の離れた後輩であるようで,上には上がいらっしゃるのである.
H 先生のお話は多分著書に書かれている内容プラスアルファであると思う.
すべてが幾何学的な考察からなっていて,もしかしたら H 先生にしか出来ないのかもしれない.
これを自分なりに理解できれば得るところが大であると思う.

バスで熊本の祖母の家へ.祖母,いとこ,叔母さんと豆腐料理をごちそうに.


3月18日

各先生方が K 先生との思い出話をされるのだが,指導教授の T 先生の話は,分けても面白かった.
また,M 先生の話は,Zeeman のレクチャーノートで組合せ位相幾何学の勉強をされたときの
話が,なにしろ自分でも少し読んでいるので,身近に感じられた.

確かに先生のおっしゃる通り, この本は現代の多くの数学書と違って,非常に informal な書き方がされており,
私のように形式主義に与する者としては,行間を埋めるために多大の頁数を割いて証明を
ノートに書いていかなければならない.しかし,そのようなことを含めて,この本はいい意味で
読者を考えさせる.そして,証明ができてみると,間違った主張がされていないことも分かる.
また各定理に鮮明な幾何的意味が感じられ,読むのに苦労するだけに感動的です.
また,続きを読んでみたいと思うけど,いつになるんだろ.

それから別の M 先生が固有ホモトピー論の話をしていた.ちょっと古い,
しかしそれゆえに,僕にはかえって身近な,話題だったと思う.
Whitehead torsion の定義とその位相不変性って勉強したいテーマなんですが
これもいつ勉強しよ….


3月17日

K 先生のお話.本当に嵐が吹き荒れてたんだなぁ….
この嵐はいったいどこから吹いてきたのだろう.

K 先生…岩波「組合せ位相幾何学」を書かれた.この集会はこの先生の退職記念.


3月15日

今日は喫茶店で勉強の日.カフェイン過剰摂取による鬱モードが気になる.
明日から福岡へ研究集会に行って参ります.
トポロジーの「深い」ところの話が聞けると思って期待して居るところ.


3月14日

図書館の A さんからプルルルルと電話が来て,
"Theory of retracts" に予約が入ったので返却してくださいとのこと.
或いは僕の修論の reference を見て…とか思ったのですが期待しすぎでしょうか.
数理での需要の少なさそうな本だったので意外です.
尤も,より需要の少ないと思われる本も借りていますが.
入学書類の提出のついでに返しに行きました.


3月13日

Borsuk の Theory of retracts はいい本だと薦められた.
とりあえず,内容と関係ない点として,表紙の曲がり方とかがポーランドクオリティーでいいです.
Singh の反例とかいうのもすごいという話だ.
Luke-Mason も読まないと恥かきそうだし読んどこ.院試前に読むべきだったか.


3月12日

採点.今日は今までで一番時間が掛かった.段々頭が回らなくなってくる.
最後のほうにやったのが簡単な問題でよかった.


3月11日

フランス人の論文.のんびり読みすぎだって.


3月10日

確率論の勉強をしました.


3月9日

今日ははーのなんでも.無限対称積のホモトピー群でホモロジー群が作れてしまうという,
これは一体どういうことなのでしょう.何か重要な意味があるのかも.

最近デニーズで事件が少ないと思ったら今日まとめて来ました.


3月8日

はあ,複素関数論で定積分の計算したの二年ぶりくらいかも.
さっき計算がいつまでも合わないから,どうしたのかと思ったら,
部分積分が間違っているではありませんか.
自分の計算能力では,何となく正しそう,程度の実感しか持てないのが悲しい.


3月7日

恵比寿ガーデンプレイスというところに行ってみた.とくに理由は無い.
駅からの動く歩道の長さ.これを歩いてくる庶民どもを尻目に,
ここを自宅の庭でもあるかの如く闊歩する方々もいらっしゃるようである.

帰ってから書類箱の工作をした.


3月6日

つくばでフランス人の論文についての発表.「これは快作」と先生談.
帰ってから,ハンズで買った接着剤でリュックサックを繕う.
ナイロンは多くの接着剤では付かない.
シリコーン樹脂とかの特殊なのが要るらしい.
それからベッド下に論文とかを納める書類箱も工作しようと思っている.


3月5日

年度替りの雑務がつづく.つうか最近,あれをやらねば,これをやらねば,
と先へ先へ気を回しすぎな気がする.適当でもどうにかなるのにね.
ともかく,フランス人の論文を読む時間がない.


3月4日

どうしても英語を書いてくれないフランス人の論文を読むことにしようと思う.


3月3日

研究成果報告書というものを出した.


3月2日

Dニーズで,commutative non-Noether と non-commutative Noether の どちらがマニアックでどうこう,そしたら非可換代数幾何がどうこう, とかいう話になっているときに, 隣の客が「スキーム」と言ったような気がしたので, 笑おうかでも間違っていたらどうしよう,大体スキーム知らんし,と思ったら, はーとYさんが同時に笑ったので, やっぱりあれはスキームと言っていたんだ,と思った.


3月1日

博士の院試発表.受かっていました.まずは一安心.
そして内部進学者は入学金も要りません…って,
そんな重要な情報がものすごく目立たないところに書かれているんですが.
いったん納めた入学金は絶対返しませんというようなことも書かれていて,
もし銀行に間違って振り込もうものなら大損害になるところだった.


2月28日

確率論の勉強.いつのまにかルベーグ積分論の復習になっているのは御愛嬌として.
蛍光灯を買った.


2月27日

東大の入試問題をやってみた.相変わらず高校数学ができないことが分かった.
ネタバレ防止のために隠し文字にしときます.
寝る前にやったら第3問(1)の計算ができず.
第5問(2)は$\varepsilon-\delta$の例として最もよく引用される某定理を断り無く使うとやはり減点なのでしょうか.
(3)は b_{n+1}=b_n+a_n+2 および (2) からすぐできるのに,気づくのに時間がかかりました.
第6問が一番素直な問題な気がします.


2月26日

いけがみ君最終講演.うん.記述集合論は多少かじっておくべきかな.
というか,ほとんどアベノリが引っ張ってました.理解力では彼の足元にも及びませぬ.

僕も拙いながら発表させてもらいました.
本来は僕の結果を発表すべきところでもあるのかもしれませんが
去年の空間論シンポで聴いたすごーく印象的だった定理があって,
それについて簡単に話しました.結構感動的です.

406 の掃除打ち上げ飲みにお邪魔して帰宅.
やはり 406 の人は皆ゲームには一家言あるようだ.

今日の言葉:「勇者はニート.」


2月25日

頭が回らん.簡単なはずの位相空間論が分からん.


2月24日

池上のみ.ゲーマーとして益々のご活躍をお祈りします.
城崎セミナーの話を色々聞いた.


2月23日

確率論はおもしろい.

僕が数学を勉強するときには,
鉛筆の芯がノートを引っ掻く感覚,
紙面上の黒鉛の線の光り方,
そういった,傍から見ると本質的とは到底思えないことが
意欲と理解とを促進してくれているような気がする.


2月22日

地域の図書館に久しぶりに行った.とりあえず,あまり読まれてなさそうな
伊藤清「確率論」を借りてみる.井川くんも最近読んでいるらしい.

この本,随分昔から復刊ドットコムに頼んでるんだが,いつになったら投票数が基準に達するんだろうか….
小平先生の複素解析は復刊が実現したんだけどなぁ.


2月21日

チューター室から普通に帰るつもりが,飲みに行くというので,飛び入り.
某常連の話で盛り上がりまくり.


2月20日

今日はつくばにエクスプレス.花粉が飛び始めた感じがするな.

なんとかして論文を投稿バージョンに持っていきたいな.
「専門家には解説不要」な部分がどこであるかを指摘していただいた.そんなにはないようだけど.

筑波の図書館でヘルマン・ワイルの「数学と自然科学の哲学」の一部をコピー.


2月19日

今日は角材のニス塗り.美しさというより,汚れがつかないように樹脂膜を作るのが目的.

五輪のカーリングを見て面白かった.途中で日本が大きくリードして,
これはつまらなくなりかねないと思いきや,相手の英国がかなり取り返してきて,
最後まで見て楽しめた.

他の競技と同じようにアナウンサーと解説者という形で中継されるのだけれども,
どのような場面にも動じない沈着冷静な解説っぷりが印象に残った.
なんとなく,「将棋の時間」におけるプロ棋士とアシスタントのやりとりに似ている.
プロ棋士にあたる解説者は,その一言一言が,鋭い感覚を持っているなと感じさせる.


2月18日

チュウター.Bんさんにお会いした.
その後中三の生徒に「勉強の仕方」のような質問をされたので,
受験のことをまだ考えなくてもよいだけに言いたい放題を言ってしまった.よかったのか.

電気スタンドの取り付けに必要な机の天板の張り出しを十分ならしめるため,
東急ハンズで角材を購入して机にボンドでくっつけるという工作をした.

ハンズで篆刻用の印材(書道の作品などに押す判子を彫り出すための細長い石のこと)
を見て,身近に判子職人がいたら自分は判子職人になったな,と思った.


2月17日

採点.

今日のことじゃないけど
やました「来年は何回か Y 先生のところに行って話を聞きたいんです」
T井先生「そうですか.それは Y 先生もお喜びになるでしょう」
ていう会話があって,こんなに心の和む会話を先生としたのは初めてかもしれない,と思った.


2月16日

恥ずかしながら,僕には東大入試問題を解く力は相変わらずないようだ.
6完とかまじ神ですから.そこの貴方!

さて,色々仕事が片付いてきた.まだ一年は 1/8 しか過ぎていない.
ゆっくり平常モードに戻していこう.


2月15日

睡眠時間が圧倒的に不足.体が腐りそうだ.
とにもかくにも論文差し替えました.お互い,お疲れです.

今日の言葉:「B'z の稲葉がガウス・ボンネ知っていたら萎えますよね.」


2月14日

博士課程試験.
こういう時にスーツを着ないのが
数学をやってる人間の気概であるそうだ.
何事につけ外見より中身重視という哲学は色々なところに感じられる.
僕はスーツを着てしまった.失格だ.
今日は同学年の人と4人で飲み.徹夜飲み.久しぶりだ.

今日の言葉:「やました君はやってる数学がオタというよりやました君そのものがオタだと思うんだけど.」


2月13日

博士課程試験前日.もう試験対策してもあまり変わらんだろ.てな訳で,
論文の書き直しを続行.ああ,早く生産的なことをしたい….ストレス増大中.


2月12日

論文の古いバージョンを印刷しておき,
鉛筆で記入した書き直し箇所をPCで訂正しては,該当箇所を蛍光ペンで塗っていく,
という地味な作業.


2月11日

一日にできることは本当に少ない.
やはり修論提出前の3日間が異常だったと思わざるを得ない.


2月10日

修正作業が少しずつ軌道に乗り始める.
関西人はつっこみどころを体で分かっている,ことを実感した日.


2月9日

なんでもセミナーに最初から出席できなかったことが悔やまれる.
あまり落ちこぼれ感を味わわずに済んだのは幾何的内容のおかげと思う.
今日は調子の悪い日だ.修論提出以降安定していたのだが.
なんでもの前のセグチューターも二次方程式の解を間違ってはまるし.

不動明王「ホンモノの期限」に近づきつつあることを知った.
それまでに,読まれて恥ずかしくない形にしなければ.


2月8日

NHKラジオは昼の時間に,「昼の憩い」という番組をやっている.
農家の人が畑仕事の手を休めて,昼ごはんを食べながら聴くための番組であるという.
かつて,日本人のほとんどが農民であった時代の名残を残していると思う.

今日の「昼の憩い」は,門から屋敷へと続く細道にタンポポの花をみつけました,
という,静岡県の人からの便りから始まった.
この番組は,3曲ほどの音楽が流れるほかは,このような便りが紹介されるだけである.
しかし,こういった誠に平凡な番組を心地よいと思うのが日本人なんじゃないかなと思う.


2月7日

今日は修論審査.久しぶりにスーツを着た.
この内容を話すのは5回目くらいになると思う.
先生方のほうを見て話すと緊張するので黒板だけ見て発表.
制限時間は微妙に超過した.


2月6日

妄想の絵画化.明日はこの絵画をより一般的な雰囲気で,大きな紙に書こうと思う.
書いててさすがにアホかと思う.

最近,養老孟司先生の本が面白い.よく立ち読みする.
いろいろ感想を書こうかと思いましたが,考えがまとまらないのでやめます.
ところで,人間の脳の働きを人間の脳が完全に理解するということは,
不完全性定理と似たような話で不可能であったりしないのでしょうか?


2月5日

採点をやった.仕事の要領がようやく分かってきた気がする.


2月4日

チューター室.今日は中3の生徒の持ってきた問題が面白かった.


2月3日

つくば.閉集合からその中の相対開集合を除いて閉集合になるとか,
微妙に久しぶりに見た気がする.幾重にも近傍をとる議論と,
何分の ε とかを使う議論は強い類似性があるように思う.

十分大きい自然数を選べばよい処を,目的を達するのに必要な最小の自然数を
敢えて選択するという点だろうか.

さて,節分である.豆は撒かなかったし,食べなかった.
関西出身ではないので太巻きを食べたりもしない.
そもそもそういう習慣があるということを知ったのがSと〜君の日記だったりする.

ちなみに,今年の「恵方」は南南東(南から +π/8)とされていることが多いが,
正確には南から +π/12 とのこと(参照).


2月2日

ポントリャーギン常微分方程式は良い本だと思う.
普通の大学二年生が読んだきりにしてしまうと勿体無いのでは.


2月1日

修論発表会皆様お疲れ様でした.そして飲み会お疲れ様でした.楽しかったです.

だんだんお互いが遠く離れていくことを認めぬ訳にはいかないけれども,
各々が進む道には各々の素晴らしさがあるに違いないと自分を納得させ,
もはやそれを十分に検証する時間は自分にはないという絶望感に,
時には沈むけれども,しかし,永遠に未完成であるからして,
学ぶ楽しさは損なわれないのだと信じる.


1月31日

今日は採点をした以外何もやる気がおきず,甚だ散漫な一日だった.
フランス語の勉強も手に付かん.
数論の概説も頭に入らん(当然か).
修論の直しも時間が中途半端という理由でさぼり.
かくて本年最初の,しかし重要な,一箇月が過ぎた.


1月30日

修論発表会.自分の結果に関する発表はもう 4 回目くらいになった気がする.
修論審査では何を最初に言うべきか,何を付け加えるか,何を省くか, 考えどころである.とりあえずOHPより板書が良さそうだという結論には落ち着いた.

発表という場では,それを話すのにどんなに長時間を要する結果であっても,
決められた時間内,今回なら 20 分,という時間内で話さなければならない.
そういう事情が分かるようになったということもあるが,
こうした話を聴いていると,その中の一つでもいいから,きちんと分かりたいという気になる.
もちろんある人は言うかもしれない.きちんと分かることの出来ることなど,その程度のことである.
誰にもよく分からないことであるからこそ,研究されているのである.―
しかしそれでも,既に分かっていることを,それも徹底したレベルで,
理解しておくことは,強い光となって闇夜を照らすのである,
との希望的見解のもと,ぼーっと書物を読んだりしているのだった.


1月29日

故障した電気スタンドを買い換えたのだけど,
そしてそれは熟慮を重ねて買ったつもりなのだけど,
やたらと銀ギラで浮いていることこのうえない.
見た目がかっこいいとかそういうことで決める癖がまだ抜けない.
もっとも勉強に本当に適した明るいスタンドほど,デザインの種類がなくて,
実用本位に徹した「普通の家電製品的な」ものしかなくなる.
そこを割り切れなかったことが敗因だろう.
もう,買い物は文房具を除いてはほとんど失敗8割って感じだ.
こういう事態を防ぐには,まず経験豊富な人の意見を聞くのが
一番なのだけど,
結局のところみんな限られた情報の中で,判断していくしかないですね.

ジーンズを使い古したように見える加工というのが
結構普及していて,自分はそのようなものを
馬鹿だなあとかなかば見下しているところもあったのだが
今回はこの電気スタンドにそのような加工を施してみたいと思います.
手始めに,機械油で油汚れでも付けてみるか.ほんと馬鹿.


1月28日

いまい日記の「某所」を発見した.今日の出だしは快調だ.


1月27日

モース.直交群の周期性定理の説明をしようとしたが,無理.
内容を消化してかつ決められた時間内に発表するのは,
やはり yasu ご師匠の仰るとおり,ものすごい準備が要るのだと分かった.
残りは日曜日に持ち越し.
(ところでこんなメジャーな数学が出てくるのは珍しいなぁ…)

日記を見ると,SN君が猛烈に数学をやりそうな予感がしてくる.


1月26日

M先生曰く油性OHPマーカーはマッキー極細がよいとのこと.
同じ値段だったらマッキー8色セットでも買うべきだったかも.

今日は引き籠った.


1月25日

とりあえず今日は修論審査の練習の練習.先週よりだいぶ冷静だった.
板書とOHPの両方を試してみて,良いほうを修論審査でやろうと思う.今日は板書でやった.
たぶん修論審査の練習ではOHPになると思う.

OHPマーカーありませんかと渋谷ロフト某店員に聞いてみると,
店員は,OHP用ではありませんがと,フィルム書き用ペンを指差す.
それは油性ですかと聞くと,そうだと言う.
しかし,店員とてすべてを知っている訳ではあるまいということで,
念のため確かめてみると,それは水性であった.
すぐにかすれて汚れる水性OHPマーカーには前回の発表で散々苦しめられた.
やはり人の言うことを鵜呑みにするものではない.


1月24日

どうすんだろどうすんだろ.とか言いながら病院に行ったり,
喫茶店で紅茶をたのんだりして一日が過ぎる.

いちおう見通しが立った気がしたので,まだまずいかもしれないが,
Milnor に目を通してみる.


1月23日

つくばで,修論の訂正箇所を説明していたら,やっぱりまずいことが発覚.どうすんだろ.


1月22日

フランス語はちょっとずつ継続してみます.
私にとってこれが言語 L でなくなるまでは続ける必要があるでしょう.

今日は general topology の稽古も少しやりました.
最近,一様空間がちょっと分かった気がしていて,
修論(直前修正分)でもちょっと役に立ったりしていますが,
そんなこともあると道具は普段から磨いておくものだと余計に思います.


1月21日

フランス語のお稽古を始めた.まだ何かが身に付いているのかすら,定かでない.
身に付くってなんだろう.数学をやってる目で語学をやると,いろんなことを考える.
こうやって単語を覚えて行っても,実質的に自分の知識は増さないのではあるまいか,
との観念にもとらわれる.

しかし,そういう実質的でない厖大な知識の集積がはじめて,言語を可能にしているのだ.
仕方のないことなのだ.いま書いている文章も,厖大な約束事の塊の上に立っているのだ.

単語は忘却あるのみ.この方針で行こう.
今学んでるのは言語 L ! アルファベットはこれだけ!
ひたすら公理,公理.


1月20日

松本幸夫先生の授業も残り少なく,急ぎ気味.分からないけど分からないなりにきちんとノートしとこ.
も〜すは来週発表とかいうことで大変大変.
はーと修論ネタなどで話す.S 石先生の W 君,イーグルに現る.


1月19日

片岡先生の授業があったはず.結構いいジーンズが安く売ってたので買った.


1月18日

今日の坪井研は勢いだけで発表したというかそんな感じ.

昨日やったTAのことを書き忘れていましたが
専門が p 進 Hodge 理論に決まった人もいました.

トリビアで二歩で負けた棋士のことをやっていた.

ところで

集合の分割が同値関係と対応することはよく知っているつもりでも,次のように言われると不思議な気もする.

ここに12人の人がいる.これをいくつかのグループに分けたいのだが, 次の二つのケースを考えてみよう:
(1) 2人ずつのグループ6組にこれを分けたい.
それぞれの人に,自分と同じグループになりたい人1人を紙に書いて提出してもらう.
(2) こんどは,3人ずつのグループ4組にこれを分けたい.
それぞれの人に,自分と同じグループになりたい人2人を紙に書いて提出してもらう.

さて,提出してもらった結果が次の条件を満たしていたとしよう:

「A さんが B さんと同じグループにいることを希望しているならば,
逆に B さんも A さんと同じグループにいることを希望している」

このとき,(1) の場合は,全員の希望を満たすグループ分けがいつでも可能である.
しかるに,(2) の場合はそうではない.


1月17日

午前五時くらいに完成した気になる.とりあえず明白な間違いが見出されないので 良しとする.
最悪旧バージョンでの提出も考えたが,それは免れそうである.
大学に行ってから校正しようとしたが,睡眠不足で判断力,思考力とも落ちていて,
時にありもしないガラスのコップが視界の端にあるように感じられたりする有様だったので,
校正は字面から自明なところのみに留めて午後一時二十分提出.
帰って寝る.めちゃくちゃはっきりと夢を見た.
夢をよく見て内容もよく覚えているという人もいるようだが,
僕は夢をほとんど見ない.多分実際は見ているのだが覚えていないのだ.
今日見た夢には母校が出てきたが,それは実物より煤けていて,
また建物の各部分の繋がり方が実際と異なっていた.
数学科の人と京王線に乗る場面が出てきた.起きて気づいたが,
そのとき枕元で掛かっていたラジオの内容が
そのまま夢の中の京王線の乗客の台詞に輸入されていて驚いた.


1月16日

昨日「変えた」ことが利いて写像の作り方がより自由になったのであるが
それでも抑制を利かせるのはそんなに簡単ではないようだ.
午後二時か三時かから,段々できそうな雰囲気に.
将棋の大山名人は心理戦の達人であったと父から聞いた.
その心理戦にやられる将棋指しの境遇が自分と似ている.
名人は勝ったと思った瞬間に生じる隙につけ込む術に非常に長けていたそうだ.
そして,強い将棋指しというのはその隙のことを熟知しているものだそうだ.

あっまずいと思ったら,少し気温の低い奥の部屋で頭を冷やす.
一様連続性の度合いを慎重に見ていく.


1月15日

昨日考えた線で午前中書き進んで,更に議論を簡略化するために
今までのやり方を(少なくとも見た目の上で)大幅に変えたのだが,
上手くいかない.副産物として一様連続写像を貼りあわせる方法が分かったりした.
しかし,論文はもうほとんど諦め.如何に平静でいられるか.
デーモン閣下の解説がよい慰めとなる.


1月14日

修論の主要補題の証明が根本的にマチガットルことが分かり,目の前が真っ暗に.
大体連続と一様連続とを勘違いしたような,そんな初歩的な間違いである.
念のための最終チェックをかけたら It is easy to see that が埋まらなくて気がついた.
二時間くらい何もできなかったが,とりあえず最初の方針を思いついて寝る.


1月13日

数理の前でM尾先生に会った.
松本幸夫先生の授業を受けるために,
また図書館に二冊の本を返すために,大学に行く.
モースは修論が落ち着いてからということで今日はキャンセル.
なぜかボックスにS野さんのプレプリントが入っていた.
有難く頂いておくことにしようと思う.


1月12日

特にこれといった進展なし.ところで関係ないが
最近やっと論文を人並みに?読むようになった気がする.

図書館で借りた本が25年ぶりくらいに貸し出された本であって
カードによると前に借りた人はY先生だった.
なぜかこういうこと,僕には多いんだよなぁ.
もうカードが廃止されて,順次廃棄処分になっているのは周知の通り.
こういった名前が出てくる面白さがなくなって寂しい,と図書館のAさん.


1月11日

風邪のようだ.鼻水がとまらん.
今日は文献一覧をつくった.BiBTeX を使うと楽になるものなのだろうか.


1月10日

つくばから速攻で戻ってTA.
生協に行って,勢いで「数論の歩み」という論説集を買った.
聞くところ amazon も,勢いが大事らしい.


1月9日

今日は外出してみた.
喫茶店は午前中がおすすめ.午後は息が詰まります.   

エスイージーでバイトをしていると
「大学への数学」を見せて質問にやってくる生徒が多いので
今日それを書店で見てみたら,値段が1000円以上もするのにびっくりした.
気分転換に高校数学の問題をやるのは楽しいと思うが,さすがに買うのをやめた.

高校時代には難しすぎた.もう買う機会は逸してしまった.


1月8日

仏文読解が意外と順調だ.一回も外出せず.

元日に書いた

>「適切に」も「ある種の連続性条件」も
>自明に満たされているということでいいのですか?

のうち「適切に」が自明でも何でもないことが分かった.


1月7日

凸領域,な日.仏文読解をはじめる.


1月6日

今日はM先生に質問に行ったり,家に帰ってもう一度大学に行ったり,
渋谷の喫茶店で勉強したり.

しかし夜の勉強は家の方が落ち着きますな.

夜,三度大学に行った後,駅でW君と遭遇.
S先生と論文チェックで連日面談とのこと.

家に帰ってからは古い論文を読んで,自明な部分で一時間詰まったり.
昔の人は今の人に比べて,思ったことを思ったとおりに書く.
これはいい所もあれば悪い所もあって,今回は悪いと ころが出たのだと思う.
(もちろん読者の力量が十分に高ければ何でもない訳ですが.)
筆者の気持ちを表現することと,機械的にでも分からせる努力との
両立はなかなか難しいのかも.
明日からの三連休は仏文読解をしたいと思います.


1月5日

今日はチューター室の質問者が熱かった.

図書館で何冊か,返し,同じ数だけ借りる.
図書館のAさんは「ミルナーのモースセオリー」
という書名をちゃんと知ってる気がする.


1月4日

新宿某所にてSくん,Iくんに会う.
組版についての議論が熱い.

T先生に質問.


1月3日

年の初めのためしとて
終わりなき世のめでたさを
松竹立てて門ごとに
祝う今日こそ楽しけれ

という正月の歌がありますが,『平成教育委員会』で見たところ,
この第一行の「ためし」とは,「慣例,しきたり」という意味なんだそうです.
ところで,内容がないですね.

今年も門松を立ててみました.
良い年になるといいですね.

でも大意に変わりはない気がするのですがどうでしょうか.


1月2日

昨日書いたのに関連するのですが,常微分方程式の境界値問題に関する
良いテキストは何かないでしょうか.ポントリャーギンは初期値問題
しか扱っていないようです(もっとも僕の不勉強で,実質的に書いてあるのに
気づいていないのかもしれませんが).

読者の方でこれはと,思い当たるものがありましたら,ぜひお知らせください.


1月1日

きょうは何の変哲もなき元日.干し柿が一個しか残ってない.
ちなみに最近は稠密部分集合からの写像の拡張定理についてちょっと勉強中.
Wallman extension という昔なんでもでやったことを思い出したりしています.

それとは関係ないが,昔の論文は読みにくい.

「Picard の定理は次を主張する.『…という形の微分方程式は,
境界値が適切に選ばれ,かつ,関数…がある種の
連続性条件を満たすならば,一意的な解をもつ.』」

これでは後の議論の確かめようがない訳ですが…
「適切に」も「ある種の連続性条件」も
自明に満たされているということでいいのですか?